反省点

もう少し丁寧に放下の能と女物狂能の関係を説明する。同時代に発生したのなら、表象の持つ意味はよりズレが少ないと考えてよいのでないか。アルキ巫女と女物狂の不連続性を論証するために、鎌倉・南北朝時代の絵巻物などに見られる、巫女の装束・持物を整理する。

当時、逢坂周辺にいた、いわゆる「不具」の人々の存在が反映されているか否か検討する。「逆髪」というキーワードを能の中から抽出すると、『百万』『昭君』『歌占』が出てくるが、これらに「不具」の要素は見出しにくい。盲目という点では、蝉丸と『弱法師』『景清』との書かれ方の違いを比較する。とくに、蝉丸の持たされた「蓑」「笠」「杖」「琵琶」の記号性を中心に考察する。