最近の読み物

デカルコマニア

デカルコマニア

昔から書いてほしいと思っていた、少女が普通に登場する作品。
家系図とタイムスリップを絡めているので、ヘテロを書かないと話が進まないのだが、そうした必然性を抜きにしてもこの人の書く少女はかわいい。お砂糖と抱くと潔さでできているところがいい。

短歌の友人

短歌の友人

『短歌研究』の「わからない歌」という特集で、「彼の発言と作品の印象の乖離が大きい。」と評されていたけれど、『手紙魔まみ』あたりと比べると同一人物には思えない。「詠まない人には読めない」という趣旨の指摘には深く賛成する。作らない人が鑑賞をしようとしても「だからなんだと思う」といわれることが多い。新人の作品の評価で、「空気」という言葉が頻繁に出てくる。「時流」ではなく「空気」の中で私たちは生きている。

金の仔牛

金の仔牛

株、怖い。

源氏物語

思わず時間が出来たので、ようやく手を出してみる。
読もうと思い立って市立図書館に行くが、古典全集が見つからず。
とりあえず、電子辞書に入ってた青空文庫ので「葵巻」まで読む。

そっちが正しいのだけれど、微妙な関西弁口調の源氏に違和感。
若紫を「女王(にょおう)さん」と呼ぶときの馴れ馴れしさがなんかいや。
全体的に源氏がうっとおしすぎる。

新編日本古典文学全集 (21) 源氏物語 (2)

新編日本古典文学全集 (21) 源氏物語 (2)

原文で読めば違うかと思って、「賢木巻」からは原文で読む。
藤壺に言い寄る源氏がうっとおしすぎる。
うん、やっぱり源氏は嫌な男でいいんじゃなかろうか。
ごめんね、晶子。濡れ衣だったよ。うすうす気付いてたけど。
相手の女の気持ちは考えずに自分の気持ちを言い募るところとか
世間体を気にして女への態度を決めるところがいただけない。

源氏物語はいわゆる恋愛小説ではなく、
非常に綿密な時代考証に基づいた設定で、
だからこそリアルな心情描写が多い。
その辺のことについて。

源氏物語の時代―一条天皇と后たちのものがたり (朝日選書 820)

源氏物語の時代―一条天皇と后たちのものがたり (朝日選書 820)

誰も教えてくれなかった『源氏物語』本当の面白さ (小学館101新書)

誰も教えてくれなかった『源氏物語』本当の面白さ (小学館101新書)

学部時代、物語だけを見るのではなく、物語が生まれる背景を知り、物語を生き、物語が示すさらにその先を見ることを教えてもらった。

源氏が好きという女性に言わせると、「あれくらい顔がいいと何でも許せる」らしい。
その感覚が分からんわーと思いながら、幾星霜か過ぎ。
好きな芸能人の話をしているときに、堺雅人が好きだといった私に対して、その場から出た一言。
「でもあの人って女癖悪いんでしょ?」
寡聞にしてその話は知らず、俳優としての仕事しか見ていないし、
その方面では非常に好みの男性を演じている。
そして私が堺雅人と付き会うことはまずあるまいから、彼の女性関係には興味がない。
女癖がよろうと悪かろうと俳優堺雅人に対する私の評価は変わらない。
そこまで考えて、「そうか源氏が好きという女性はこういう気持ちなのか」と合点がいった。
所詮は他人事なのだ。源氏と泥沼の恋をするわけではないのだから。
関係ないからおいしいところだけつまめるのだ。
しかし、あまたの女君の気持ちになって源氏を責める気持ちがわいてくるのが紫式部のすごいところなのだろう。

本屋で「枕草子」がなかったので買った一冊。
「なかったからってその変更はありなの?」と同僚に突っ込まれる。
これも山本淳子先生。だからいいの。
清少納言は苦境で笑う定子を描き、紫式部は栄華の裏で苦悩する彰子を描いたという指摘にはっとさせられる。

紫式部日記 現代語訳付き (角川ソフィア文庫)

紫式部日記 現代語訳付き (角川ソフィア文庫)

生存報告

たとへば君―四十年の恋歌

たとへば君―四十年の恋歌

久しぶりにゆっくり本を読んでいる。大学の短歌サークルでの河野氏と永田氏の出会いややり取りが、いかにも創作サークルのカップルといった風で面映い気持ちになる。こんなころが私にもあったような。

詩と死をむすぶもの 詩人と医師の往復書簡 (朝日新書)

詩と死をむすぶもの 詩人と医師の往復書簡 (朝日新書)

これを読まなければ、『神様のカルテ』に食指が伸びていたかもしれない。どうにもならない現実の中を如何にベストを尽くして生きるか、それを突きつけられる。

ライトノベル(1) (KCx(ARIA))

ライトノベル(1) (KCx(ARIA))

ライトノベル(2) (KCx(ARIA))

ライトノベル(2) (KCx(ARIA))

1X年前の活力を感じる。復活したなという感じ。

バッハ:チェンバロ協奏曲集

バッハ:チェンバロ協奏曲集

正確無比にバロックを演奏されると、自分が調律されているオルゴールか何かになった気がする。


一昨日、虹を見た。
霧の渦巻いていた雨上がり、
五階の窓とほとんど同じ高さに、
丘の斜面に覆いかぶさるように太い虹が這っていた。

時雨の後、深みを増した青空に虹がかかり、
五本も虹を見ると冬になる故郷と同じ、
冬の風の匂いがしてきた。

よくわからない日

車で走っていると検分中の交通事故二件を見かける。渋滞だらけ。
五代目円楽のCD付きムックを買いに入った本屋で、ご老体が昏倒。幸い、すぐに意識を取り戻された。医療関係とおぼしき方の側で、役にも立たずにご老人の体を支えていた。割と大きな書店だがそのまま立ち読みを続けている人が結構いて、微妙な気分になる。とりあえず、脈の取り方を覚えておこうと思った。

明日はアクシデントがないように、あるいは巻き込まれても冷静に対応出来るようにしよう。